
J1昇格争いは厳しい。明治安田J2リーグ残り5試合となった時点でまだ昇格が決まったクラブはおらず、わずかな勝点差の中で上位陣の混戦が続いている。
その中で、ベガルタ仙台は前節の大分戦を0-0で終え、勝点1を得るにとどまった。痛恨の結果ではあるが、現時点での順位が7位であっても最後にどの位置にいるかは決まっていない。勝点差で並ぶ相手を追い抜き、上位に追いつき追い越す力を、シーズンの残り試合で発揮して、目指す場所へたどりつきたい。追う立場にある今は、上だけを向いて戦える機会ととらえたい。チャレンジャーの立場として、このホーム・ユアテックスタジアム仙台で、まずは目の前の試合で勝利することが大事だ。大分戦で先発出場したGK33林彰洋は「1試合ごとに勝点3を取ることに集中したい。あと5試合で僕たちがどれだけ勝点を取る思いを持ってのぞめるかということを忘れずに」と、高みを目指す上での心構えを口にした。
相手の鳥栖は直近5試合無敗と好調ではあるが、そのような相手を今シーズンも何度となく倒してきた仙台にとって、今回も勝って勢いをつけて駆け上がるチャンスといえる。前回対戦は、今シーズンの開幕戦。互いに強度の高いプレーを見せた中で、仙台が球際の争いを制し、MF11郷家友太の先制ゴールが決勝点となって1-0で勝利した。あのときよりお互いのスタイルは磨かれているが、仙台はその積み重ねの成果を相手以上に発揮したい。
鳥栖は若い選手が多く勢いがあり、前方への素早いランニングを組み合わせて多くの選手をゴール前に送りこんでくる。右のDF5長澤シヴァタファリと左のMF7新井晴樹の両アウトサイドが高い位置を取り、周囲の選手とのパス交換や自身の突破力で崩しにかかってくる。彼らの関わった攻撃の組み立てに、シャドーの位置からのMF11西川潤、ボランチから前節得点したMF33西矢健人といった選手の飛び出しが加わり、厚い攻撃をしかけてくる。1点差の勝利が多いように、僅差の勝負で粘りを見せるDF4今津佑太ら守備陣も手強い。
この難敵を相手に、仙台としては様々な要素で先手を取りたい。仙台の走力や球際での強さは長い時間をかけて鍛えてきたものであり、この部分での勝負は臨むところだ。その上で、相手以上の強度を、相手に先んじて見せる積極性を見せたい。例えば、相手ボールになったときにいち早くしかけるプレッシング。例えば、仙台ボールになったときに味方をサポートしたり追い越したりして多人数でゴールに迫る攻撃。そして、ゴール数そのものだ。
前節の仙台は、守備陣に入れ替わりがありながらもDF19マテウスモラエスらが奮闘し、最近課題としてきた「相手に先制点を与えない」ことを達成。次は、こちらが先制点を取って試合の主導権を握りたい。FW47荒木駿太のようにスペースを突く動きで常に相手の先手を取れる選手もいれば、MF14相良竜之介のように相手のプレスより先にシュートを蹴りこめる選手もいる。相手の対応より先に勝負のパスを打ち込めるMF10鎌田大夢やMF8武田英寿もいる。サポーターの後押しを受け、自信を持って前向きなプレーを繰り出し、常に相手の先手を取れば勝利は近い。PASSIONを籠めて前進し、この昇格争いを制する結果へとつなげよう。