ベガルタ仙台はこのホーム・ユアテックスタジアム仙台で、9月からの進撃をスタートさせたい。
前回のホームゲームとなった明治安田J2リーグ第27節・千葉戦では、仙台は会心のゲームを披露した。中盤に守備ブロックを築き、入りこんできた相手に強烈なプレッシャーをかける。ボールを奪えば迷わずゴール方向に突き進み、速攻からも遅攻からもチャンスを作る。MF8武田英寿が頭で決めたゴールを守り、1-0で勝利。今シーズンユアスタ初勝利で、大きな自信を得た。
一方、続く第28節・愛媛戦では、立ち上がりに相手に対するプレッシャーが不足し、相手のボール回しを止められなかった。先制点も許し苦しい展開になったが、試合中に立て直して攻勢に持ちこむ。PKをもぎ取って追いつき勝点1は得たものの、チャンスの割に追加点を取れなかったことや、立ち上がりの守備の強度不足が響いた。
暑い夏場では体力面の問題からプレッシャーをかけるところにもメリハリが必要な時もあるが、かけるべきときには迷わず全力でいくことの大切さを思い知らされたのがこの2試合。収穫も課題も受け止め、仙台はこの中断期間にひたむきに走ることをどう生かすか、トレーニングで追求してきた。リーグ戦再開後は、運動量はもちろん、運動の質の部分も高めて、相手を圧倒したい。
今節の相手である水戸は、献身的なハードワークを実行できる選手が多い。ここまでリーグ2位の13得点をあげたFW7渡邉新太を筆頭に、前への推進力のあるMF8齋藤俊輔やFW22久保征一郎のように、相手の守備を振り回すランニングができる選手がそろう。DF2大森渚生やDF6飯田貴敬といった、サイドを上下動しながら攻撃の決定機にも大胆に関われるサイドバックもいる。誰かが無理をして味方のためにパスコースを作る攻撃には迫力があり、シーズン途中の8連勝など勢いを力に変えて大躍進。現在は首位の座を長く守っている。
水戸を勝点差6で追いかける立場の仙台としては、チャレンジャーの立場として迷いなく、そして力強く走って相手を押しこめたいところ。攻守とも味方のために足を止めず走れるMF11郷家友太やFW47荒木駿太を筆頭に、水戸を上回る走りで相手をかき回し、パスやシュートのコースを作ることが理想だ。MF10鎌田大夢や武田が味方の作ったコースに決定的なパスを通し、サイドからもDF42石井隼太のクロスやDF25真瀬拓海の突撃がゴールへの道を切り開く。そしてFW59小林心の素早い飛び出しやFW99宮崎鴻のパワフルなヘッドでゴールを攻略し、勝利を確実なものとしたい。相手にボールを持たれたとしても、ボールを取る位置をはっきりさせて、そのゾーンで迷いなく厳しいプレッシャーを相手にぶつけ、また攻撃へ切り替えることが必要だ。
リーグ戦も残り10試合。緊張感のある上位対決を、このホームで迎えられることは仙台にとって大きなアドバンテージだ。大きな後押しを受けたチームが、ほとばしるPASSIONとともに勝利を手にすることを期待しよう。