一歩一歩、成長を続けながら2024シーズンを進んでいるベガルタ仙台。5月を締めくくるホームゲームでは、上位の岡山と顔を合わせる。
明治安田J2リーグ第17節で仙台が対戦する岡山は、攻守ともに手堅く、安定している。特に守備の堅さが強みで、ここまでの16試合で無失点試合は半分以上の9試合に及ぶ。総失点数12は2位タイの少なさだ。最近の試合ではけが人が多く苦労していたが前節に5試合ぶりの勝利。出場したメンバーがしっかり守備組織を支えているため、流れの中でもセットプレーでも大崩れしない。
岡山の堅さを支えるのがセンターラインの安定感だ。ゴールを守るGK49スベンドブローダーセンはJ1でも実績十分で、近距離・遠距離を問わずシュートへの反応が速い。3バックを統率するDF18田上大地は強さと賢さを兼備し、ボランチではMF24藤田息吹が豊富な運動量を生かし広範囲をカバーする。最前線では3ゴール4アシストのFW9グレイソンが負傷離脱したが、代わって大型FW99ルカオやスピードのあるFW29齋藤恵太がその役割を引き継いでおり層の厚さを見せている。
この手堅い岡山を攻略するためには、仙台は縦横に揺さぶる攻撃を繰り出したい。今シーズンの仙台は開幕から高い位置でボールを奪ってのショートカウンターを得意としてきたが、相手を押しこんで崩すためのビルドアップも少しずつ身につけ、今月はボールを保持して相手を動かすプレーが次第に増えてきた。まだ連係を深めたりパスの精度を高めたりする余地があるものの、攻撃の幅は少しずつ広がっている。この岡山戦は、その攻撃面の成長が問われる試合ともいえる。
相手の手堅いセンターラインを崩すうえでは、特に横に大きく揺さぶって相手の並びをずらすことが有効になりそうだ。仙台には最終ラインのDF22小出悠太やボランチのMF37長澤和輝、MF10鎌田大夢のように、ボールを奪えばサイドチェンジで相手を横に動かしたりフリーの味方を走らせたりできる選手がいる。パスの出し手と受け手の連係が向上することで、この揺さぶりはさらに効果を増す。DF2髙田椋汰やDF25真瀬拓海、DF39石尾陸登もクロスを練習で地道に磨いている。その成果を見せたい。
もちろん、相手の陣形が整わないうちに得意のショートカウンターを繰り出すことも織り交ぜたい。仙台には、MF27オナイウ情滋やMF14相良竜之介のように相手の背後を素早く突ける選手も居並ぶ。テンポを変えて攻撃するうえでは、MF24名願斗哉のつかまえづらいドリブルも効くはずだ。
相手の堅守との我慢比べの展開になるかもしれない。だが、焦れずに、自分達の磨いてきたことを信じてアタックし続けることで、きっと道は開ける。運動量、前に出る積極性、そして勝利への執念のようなPASSIONをぶつけ、岡山の堅陣を崩そう。