NEW HERO

　西村拓真のプレーは、年々力強さを増している。

　もともと、貪欲にゴールに向かって突撃する動きの中で、力を発揮してきた。練習生を経て仙台に加入した2015年、西村は様々なプレースタイルの先輩FWたちから多くを学びつつ、自らの武器を磨いた。同年はJ3に参入していたJリーグ・アンダー22選抜でのプレーで経験を重ね、Jリーグヤマザキナビスコカップ（現JリーグYBCルヴァンカップ）第7節・川崎F戦でJ1の公式戦に初めて先発出場した。

　同年末から翌年にかけては、スペインへの研修に赴く。まずはゴールに向かう姿勢を求められることが多かったとのことだが、世界各国から集まった同年代の選手を相手にゴールを目指すことで、逞しさは増した。当地では初めて経験する1トップで、屈強な相手のマークが集中する状況も何度となくあったという。

　そして2016シーズンに、西村は出場機会を増やした。明治安田生命J1リーグ2ndステージ第12節・甲府戦では、チームに負傷者が相次いだ中で先発出場のチャンスをつかむと、石川直樹のクロスに頭から飛びこんでJ1初ゴールを決めた。1点を追うチームにとって貴重な同点弾だったが、「チームが勝つためにはもっと取らなければいけなかった」と、喜びも半分だった。

　経験を重ね、西村は前線からの守備も、味方を生かすフリーランニングも、スルーパスも、プロの舞台で発揮できる武器にしている。体格も大きく、強くなった。その中でも、FWとしてゴールを目指すという姿勢は揺るがない。「具体的に数字を挙げる、ということはしません」とのことだが、何点を取っても満足することはないだろう。

　開幕戦から途中出場を続けたが、ルヴァンカップ第1節・FC東京戦で負傷し、一時戦列を離れた。しかし「自分の体としっかり向き合いましたし、次から全部に出たい」と、復帰早々の活躍を誓う。「日々の自分の成長がチームの成長につながるように、結果を出したい」。その意欲とともに、西村はゴールに向かう。