VP EYES

悔し涙は勝利の糧
元仙台の守備陣を擁し、J1残留目指して戦う清水。
焦れずに丁寧に攻撃を組み立て、相手のカウンターを冷静にはね返せ!

 確かに強豪チームを苦しめ、手応えのある戦いはできた。しかし残ったのは大きな悔しさだった。明治安田生命J1リーグで優勝争い中の川崎Fとの公式戦3連戦、仙台はいずれもの試合も丁寧な崩しから流れるような得点を生み出し、攻撃面は素晴らしかったが、相手の猛攻を堪えきれず終盤複数失点し、欲しかった結果は得られなかった。JリーグYBCルヴァンカップ準決勝、川崎F戦は、ホームで行われた第1戦3-2で先勝するも、第2戦1-3で敗れ、決勝進出を逃した。リベンジを誓ったJ1リーグ戦、第29節川崎F戦は前半、MF16野津田岳人、後半、FW11石原直樹のゴールで2点をリードしたが、終盤相手に次々と高精度のミドルシュートを決められまさかの2-3での敗戦に終わった。味わった屈辱、悔しさは全てパワーに変えて今節の清水戦にぶつける。

 清水は、山形などで何度もJ1昇格を成功させた小林伸二監督の下、1年でJ1リーグに復帰したが、現在勝点29で14位。J2降格圏の16位、広島が勝点2差に迫っており、J1残留に向けて厳しい戦いが続く。ここ4試合勝利が無く、前節はホームの静岡ダービーで0-3と完敗している。

 注目はかつて仙台で活躍した選手たち。今シーズン、仙台から清水へ移籍したGK13六反勇治は守護神に定着。正確なロングキックが武器で守備範囲が広い。そして仙台ではボランチを務めることが多かったDF45角田誠と、左サイドバックからコンバートされたDF26二見宏志が、センターバックコンビを組む。対人守備に強い角田と、スピードと活動量という武器を中央の守備で生かす二見がかつての仲間、仙台攻撃陣を待ち受ける。その他、元朝鮮民主主義人民共和国代表でチーム最多のリーグ戦9ゴールを挙げたFW9鄭大世は依然パワーが衰えていない。FW23北川航也、FW30金子翔太など若手アタッカーも成長中だ。

 清水とは、今シーズンの公式戦で2回対戦し、いずれも勝利した。自陣で守備ブロックを作り、カウンターを狙ってくる戦い方は、その時と大きく変わらない。丁寧に相手守備陣の空いたスペースを突けば崩せるので、焦れずに丁寧にゴールまで攻撃を組み立てれば良い。好調の野津田、石原は隙あらばシュートを打っていきたい。守備ではリスクマネジメントの徹底に尽きる。今シーズン清水から完全移籍のDF13平岡康裕は期するものがあるだろう。カウンター攻撃にも冷静に対処する必要がある。

 相手の良さを消す守備をしてくる清水は手強いが、仙台は強豪との対戦で通じた攻撃に自信を持って戦えば必ず優位に戦える。川崎F3連戦での悔し涙を糧に、必ず勝利しよう。