2017JリーグYBCルヴァンカップ ノックアウトステージ 準決勝 第2戦 川崎フロンターレ
お疲れさまでした。3,000人を越える大サポーターが等々力に集まって、我々の後押しをしてくれました。本当に心から、感謝を申し上げます。ありがとうございました。
それから、今日、ゲームを迎えるにあたって、今はけが人が非常に多く、あるいは出場停止や規定の関係で出られない選手がいるということで、実質我々のメンバーを考えた時に、17人しかいませんでした。その中で、急遽、JFA・Jリーグ特別指定選手のジャーメインが昨日に関東大学リーグの試合があったにも関わらず、昨日の夜に合流して、今日の18人に入ることができました。そこには、本当にいろいろな方が協力してくれて、我々の強化部、あるいは流通経済大学の中野監督をはじめとした関係者の方々、本当にいろいろな方に尽力していただいたからこそ、今日ようやく18人がそろうことができました。この場を借りて、御礼申し上げます。ありがとうございました。
ゲームの方は、2つ先手を取られたところが、まずは重くのしかかったというところ。その先に我々が攻勢に出て、相手に退場者が出て、といったところで、2-1になるまでは、非常にいい盛り返しの仕方ができたと思います。
ただし、我々が1人多い中で、どういった攻撃をしかけられるか、というところのバランスについては、想像以上にバランスを崩して、秩序がなくなってしまったなという印象です。それを引き起こしたのは私の采配だと思うので、今日に追いつくことができなかったのは、すべて私の責任だと思います。私の力がもう少しあれば、確実に同点に追いつけたと思いますし、ベガルタを応援してくれるいろいろな人を埼スタに連れて行くことができたと思います。本当に、申し訳ありません。
ただ、ルヴァンカップの戦いは今日で終わりましたけれども、残りのリーグ戦が6つあるので、1週間後にはまた等々力ですし、何とか今日の借りを返して、残りのゲームをいいかたちで終えられるようにしたいです。
■中野選手をシャドーで起用したねらいと、失点するまでチーム全体が前に出る姿勢を欠いたことについて反省すべき点を教えてください。
まず、ヨシ(中野)をシャドーで起用した狙いといっても、シャドーをやれるのがヨシしかいないということが1番で、今はいろいろなアクシデントがあってなかなか選手がそろわない中で、今いる選手を組み合わせたときに、準備期間は短いのですけれども、ヨシの特徴というものは、あそこに置いても生きるのではないかと。あるいは我々のサイドアタックということについても、ウイングバックが生命線になりますから、そこの人材を、ハチ(蜂須賀)だったり(古林)将太であったりといったところを確保しつつ、ということを考えて、ヨシを今日、起用しました。
川崎さんが前からプレッシャーをかけてきている中で、では誰がどこにプレッシャーをかけたらどこが空くのかというところは、本当に今年にずっとやってきたので、いいときは全部、そこを探せるんですけれども、どうしても今日はそれが全部遅れてしまって、あるいは判断が悪くて、良い立ち位置が取れなかった。それが2つ目の質問の答えにもつながるのですけれども、前半からなかなかいいかたちで前進することができなかったという大きな要因だったと思います。
そこは、たとえばボールを回すテンポだとか、技術的にいえばいいところに一発目を置いてルックアップできれば、おそらく相手も取れないでしょうし、そういうことができなかったものも、多分にあったと思います。ただし、今までまったくできなかったのかというとそういうこともないので、やはりどうしてもそこは、川崎さんの圧力だけでなくて、もしかしたらいろいろな圧力が選手にかかっていたのかな、という感じはしています。
でも実際、相手がスコアを動かしてからですけれども、我々が前に出ようとすれば、あれだけやれますから、最初の入りのところで、もう少しそれが整備できていたら、という気がしています。
■バランスが崩れたとおっしゃいましたが、あの時点での選手たちの戦う姿勢は決して責められるものではないと思うのですが、監督は選手の姿勢をどのように思っていますか。
おっしゃったように、戦う姿勢があれだけあったからこそ、私の方でしっかりコントロールしてあげられれば、絶対に追いつけたし、もしかしたら逆転できたし、すなわち我々がファイナルに行けたというような思いがあるので、それはもう、私の力不足だな、というところです。
ちょっと、いけいけなってしまって、それはもう、裏を返せば当然、リスクマネジメントにもつながるのですけれども、そもそも攻撃の時のバランスが悪くなってしまって、実はそれは、私の方でちょっとシステムを変えて、前の人間を増やしてやっていたところの指示をしたので、それによるものも当然あったと思いますし、途中から出た選手の中にも久しぶりの選手も多くて、あるいはジャーメインのように仙台では二試合目という選手もいて、なかなか意思疎通もできないのかなという感じはしています。
ただ、本当に、そこまでシステムをいじったりせずに、あるいは交代を大きくせずにやっていたときは、いいかたちで攻めることができていたので、もう少し私の方で焦れずに、そのままのかたちで継続させることもまた1つだったのかな、という反省もあります。
■グループステージからここまでのチームや選手たちの成長について、どのように感じていますか。
成長しましたよ。今日のスタメンで出た西村は、今シーズンが始まるときには頭から使えるかどうかという選手でしたし、あるいは将太のように途中から来た選手でも、我々のやり方にしっかりとフィットして、躍動してくれていますし、冒頭に申し上げたように、今は選手がいないような状況でも、これぐらい川崎相手に食い下がることができたというのも、本当に大きな成長だと思います。
ただし、それで満足できないんですよね。裏を返せば、自分たちがここで、本当にタイトルが取れたんじゃないかという悔しさを本気で味わう本当にいい機会だったかもしれないし、でもやはりそれではだめなんだと強く思って、本気で上を目指していかなければいけないし、そういう機会をたぐり寄せたのは我々自身なので、それはひとつ自信にしたいと思います。ただし、これで満足してはいけないよというものは強く肝に銘じて、これからのゲームに生かしていければと思います。
■早い時間に相手に二枚のイエローカードが出て、監督や選手の頭の中に、相手に退場者が出る場面を想定していたのでしょうか。
想定はしていました。1stレグを振り返れば、我々にとっては少し不可解で、厳しい判定の中で、我々に退場者が出たと。そこから日を空けずに今日のゲームですから、やっぱりいろいろなことが起こりえるだろうなと思っていましたし、今日の家本さんに関して言うと、前半から割とイエローカードを出していたので、おそらく今日は我々にもイエローが出る可能性もあるし、相手にもう一枚が出て退場者が出るだろうという予測は十二分にしていました。
■仙台のサッカーが以前の、相手のやり方を待って対応するようにしかけるかたちから、(途中省略)前に出るかたちに吹っ切れたきっかけはどこにあるのでしょうか。
1番のきっかけは、2年前のアウェイの鹿島戦です。私が監督に就任したのが2014年の途中で、その時にやった作業は出血をそれ以上しないこと、とにかく残留してくれということを社長にも強化部長にも言われたので、それをやるためには、それまで手倉森監督がやられていた堅守速攻のスタイルに戻すこと、それをやったのが2014年でした。
では2015年に何をしようか、となったときに、少し攻撃の所も整備して臨もうと思ったものの、どうしてもそこでバランスがうまく取れなくて、守る時間も必然的に長くなってしまいました。そうやって、やっているうちに、2015年のアウェイの夏のカシマで、我々が2-0でリードしていたにもかかわらず、3点を取られて逆転負けしたゲームがありました。そのときに、ハーフタイムにやってきた選手たちの表情を見ると、1点を取られて2-1になっていたのですけれども、勝っているチームの表情にはとても思えなくて、もういっぱいいっぱいだったのです。それを見て、実際に逆転もされて負けて、後から映像も見て振り返ってみると、やっぱり守った後に効果的にカウンターもできないし、いざボールを握ろうと思っても握れないし、もうこれは困ったと。やはり自分たちがボールを握ることで主導権を握る、あるいは守備でも前から奪いに行って、主導権を握る。あるいは自陣で守備をしていても主導権を握ることはできますから、それもやれると。そういうところに着手したのが、2015年の夏です。
もしかしたら、おっしゃったように私が吹っ切れたというのがそのタイミングかもしれないし、そこからは攻撃で相手を圧倒するようにしようぜと、ボールを握ろうぜというところで、ずっとやり続けてきたつもりです。当然それは、相手があることなので、うまくいかないときもありますし、うまくいくときもあるし、そこはもう、パッとゲームを見たときに、「今日の仙台はちょっと違うじゃないか」と思うかもしれませんけれども、基本的な私の考え方は、2015年の夏からは一切変わっていません。
今日も、選手に送り出したのは、3-2で勝っている状況、あるいはその先のアウェイゴールうんぬんというレギュレーションはあるけれども、川崎よりも(ボールを)握るぞ、攻撃的にやるぞというところで送り出したので、それが実際に、冒頭の質問とも被るのですが、前半はなかなかうまく行かなかったと。でも、相手が1点を取って少し構えた先には、やはり崩すことができます。
でも2015年の夏に、私がそこでやらなければ、もしかしたら相手が1人少なくなって、我々が攻勢に出ようと思っても、効果的には攻められなかったと思うのです。でも実際に彼らがああやって、一人少なくなったとはいえ川崎を相手に攻めこむことができたのは、2年前からずっと地道に取り組んできた作業の、ちょっとした成果なのかなと思っています。
ただし、何度も言うように、これで満足するつもりも私はさらさらないですし、やはりそういうサッカーをやることで、ファイナリストになる、あるいはタイトルを取るというところに進むことができればと思っています。
強化費だとか経営規模だとか、そういうことを考えれば、我々はJリーグの中でも下から数えた方が早いと思うのです。でもそういう地方のクラブでも、自分たちの哲学を持って信じてやれば、こういうことがやれるぞということを、これからもっともっと披露していきたいと思います。