2017 明治安田J1 第22節 サンフレッチェ広島
お疲れさまでした。ホッとしています。久々の勝利で、ホームでああやってサポーターが喜んでくれる姿を見ると、なんとしても、もっともっと勝ってみんなを勇気づけたり元気づけたりしなければいけないなというものを、あらためて感じました。
本当に久々の勝利だったのですけれども、今日は(ウォーミング)アップの時からサポーターがすごく我々にパワーをくれていたので、何とかその期待に応えようというかたちで選手を送り出したのですけれども、最終的には1-0というかたちで、勝ちきることができて、本当にホッとしています。
まだ、たかだかひとつ、ようやく勝っただけなので、残りの12試合、あとはルヴァンカップというところにどんどんフォーカスしていって、今までの分をしっかりと取り返す作業をしていきたいです。
■守備ブロックを作るところとポゼッション(ボール保持)をするところのバランスを保つために、どのようなことを心がけましたか。
今日はまずは、自分たちが今年にやろうとしていることはなんなのか、というものにフォーカスしてゲームに送り出しました。それは何かというと、相手よりもボールを握り、攻撃で押しこんでゴールを奪う。ボールを奪われたら、その場で取り返す。それを今日はやってやろうぜ、と。そして、それができないときには、守備ブロックを組みましょうということを、ゲームのプランと運び方については、選手に話をして送り出しました。
実際、前半の20分過ぎくらいまでですか、今までと同じように、ボールを受けるのを恐がった選手も何人かいました。広島さんに押しこまれていましたし、なかなか難しい状況だったと思います。ただしそこで、しっかりと立ち位置を取ったり、顔を出したりすれば、ボールは動くし、相手陣内に行けるでしょうと。シュートを打てるでしょうと。そういうものをようやくちょっとずつ取り戻したのが、20分過ぎ、25分過ぎだったと思います。
実際にそれができるようになれば、やはりそうだよね、というようなものができて、ハーフタイムでもちょっともう一回それを整理して、後半にあれくらい相手陣内に押しこめると、シュートを打てるというようなところに行ったと思います。
ただし、やはり最後のところで、広島さんも捨て身で、パワープレーで来たところで、もちろんピンチもあったのですけれども、そこを(失点)ゼロでしのぎ切れたのは、中断期間で守備のところをトレーニングしてきた成果だと思いますので、これが我々の戦い方のひとつだと、幅を広げてきた作業のひとつだというように、前向きにとらえていきたいと思っています。
■先制したあとに、押されることもあればカウンターのチャンスを作ることもありましたが、そのときのゲームの進め方についてはどう見ていますか。
リスクマネジメントは素晴らしかったと思います。勝っているチームがカウンターを受けることほど愚かなことはない、ということは口酸っぱく選手には言っていて、実際にあそこで我々も追加点を取るチャンスというものはたくさんあったと思うのですけれども、決して行け行けにならずに、しっかりとリスクを管理しながら、なおかつ攻撃の手を緩めないというものは、ラスト5分、10分ほどまではよくやれていたと思います。
もちろん、あれくらいパワープレーでくれば、(ロングボールの)出どころで蓋をしたいというのがあったのですが、そこはひとつ、反省点として持ちたいと思っています。ただ、ゲームの運び方としては素晴らしかったと思いますし、欲をいえば決定的なピンチが多分ふたつくらいあったと思うのですけれども、それをゼロにするような作業というものを、これから突き詰めていきたいと思います。
■西村選手がいい立ち位置を取るなど成長して、軸になりつつあると思われますが、その評価をお願いいたします。
軸になってほしいですけれど……間違いなく成長している選手の1人だと思っています。本当に、(西村)拓真がいいのは、相手の嫌がることをやれるようになってきた、それは前線への飛び出しであったり、前を向いてのしかけであったり、シャドーの位置にいながらも相手のボックスに入っていって、嫌なところに入っていってシュートをうかがい、実際に打つと。そういうところが、本当に彼のいいところで、我々のチームにとって推進力をもたらしてくれていますし、実際にああいうかたちでゴールに結びつくようなプレーをしてくれたと思います。
ここ数試合は、そうはいっても小さなミスが相次いでいて、そこは拓真ともちょっと話をしたり、本人もわかっていたりして、ちょっとプレーが決め打ちになっているところがあったので、それはしっかりと、相手を見て判断しようよというようなところを、今日はよくできていたと思います。だから、そういったところを整理できる、なおかつ彼の良さが出るということになれば、結果としてもついてくるでしょうし、相手にとっても脅威となるのかなということは、証明できたと思います。
ただし、これに満足することなく、もっともっとタフに、ハードにやってほしいですし、実際に自分のゴールというものも、欲を持って取る意識を持ち続けてくれればと思います。
■平岡選手が出場停止でしたが、大岩選手が中央に入って無失点を達成できた守備の評価とお願いします。
広島さん相手に怖いのは、パトリック選手の飛び出しだと。そういうことを考えると、広島さんも1トップ気味ですから、中央で(大岩)一貴とパトリック選手が一対一になる場面が多くなるだろうと。そうなってくると、フィジカルに優れる一貴をそこに置いて、背後を取られないような作業をしようということが狙いとしてありました。
実際に一貴が、そこでのマッチアップで後手を踏んだのはほとんどないと思うのです。ただし前半に、マス(増嶋)と一貴の間に入られて、我々のボックスの左サイドの脇を使われたのは、ちょっと気にはなったので、ハーフタイムに修正して、そこは絶対に走られるな、と。そこはマスとのペアの関係で、修正をはかることが後半はできたと思います。
ビルドアップのところでちょっと滞ることがあるかなという心配はしていたのですけれども、逆に言うと、両脇にいるマスと椎橋は、ビルドアップに長けていますから、一貴はシンプルに2人に預けて、相手が食いついてきたところを、しっかり裏を取る作業、間を取る作業というものは、90分を通して徹することはできたのかなと思っています。
もちろんピンチもありましたけれども、90分全体を考えれば、非常に締まった守備をやれたのは、彼ら三人の力が大きかったのかなと思います。
■今日は、下位の広島を相手にするにあたり、試合前に危機感というものはあったのでしょうか。
最近、スタッフも選手も、試合が終わると気にするのが我々より下のチームでした。私はそれがすごく嫌で、同じ勝点分を上に積めば、自分たちは何位にいけるのかというところを本当は声を大にして言いたかったのですが、なんとかそういう雰囲気がチームに流れているのを、なんとか今日に勝つことで払拭したいという思いが、自分の中にすごくありました。
やはり、下を向いていても何も落ちていませんし、いいことはないですし、実際に我々が目標に掲げているものに対して今は遠ざかっているかもしれませんが、こうやって勝点を積み上げていくことで、どんどん近づいていく作業というものはできると思うのです。
だからもちろん、おっしゃったように、危機感というものはものすごくありました。でも、あえてそれを私は口にはしませんでしたし、やってくれるだろうと信じていましたし、何とかこの勝点3で、選手もスタッフも、もしかしてサポーターも、下の勝点を気にすることなく、いくつを積めば1桁(順位)に行けるのかとか、トップ5に近づけるんだというような方向に持っていきたいと思っていました。
だから、実際に今日の勝点3というものが、我々にもたらすものは、非常に大きいと思うので、これからやはり、もっともっと上を向いていけるようにしていきたいと思います。
■最後まで攻めの姿勢を貫いたことについてはどう感じていますか。
それが、キックオフからやってほしかったと思います。先程も申し上げました通り、立ち上がりはどうしても相手の圧力に押されたことが否めませんから、そこを何とか、もっともっと勇気を持たせるような作業を私自身もしたいですし、そうすることで、立ち上がりから我々が、相手陣内に押しこめるようなゲーム展開にしたいと思います。
ただし、やはり今日に、途中からでありますけれども、選手も成功体験としてまた持てたと思うので、次のゲームからは、立ち上がりからどんどんそういう姿勢を貫いてほしいですし、いい攻撃といい守備というものをしっかりバランスを取って、90分間やり続けられればと思っています。