2016 明治安田J1 2nd 第17節 ジュビロ磐田
お疲れさまでした。まずは、一年間、チームがどういうときにも叱咤激励、鼓舞してくれた多くのサポーター、それから我々にご支援いただいているスポンサーの皆様方に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
11月3日に公式戦すべてが終わってしまうということは、非常に寂しいです。もっともっと試合をやっていきたかったですし、トレーニングを重ねて選手と一緒にまた成長をしたかったですし、11月の頭ですべての公式戦が終わるというものは、我々自身が招いた結果なのですけれども、それが非常に悔しく、また寂しい気持ちでいます。
今日のゲームに関していえば、磐田さんの置かれている状況どうこうというものは、当然彼らの戦略だとかいうものに関しては注意深く見ていきたいというような話は選手ともしていたのですけれども、スターティングメンバーを見て、攻撃的にくるだろうという部分、それは認識した上でのぞんだつもりではいます。
ただし、たとえば残留争いがかかっているチームの勢いだとか、そういったものに関して、我々がそれを下回る要素というものは、今日のゲームに関していえば、一切なかったはずだと。なぜならば、前日の時点でチケットはソールドアウトでしたし、実際に19,000人を越えるサポーターが集まってくれましたし、何よりウイルソンが退団するというようなゲームでしたから、我々のモチベーションがこれ以上は上に行くことはないだろうというくらいのものがあったと思います。
そういったゲームでしっかりと勝ちきれなかったものが、非常に残念ですし、それが今シーズンのチームの勝負弱い部分というか、そういうものが露呈したのかなという感じはしています。
Build Up というスローガンを抱えて、新しい仙台のスタイルを築いていこうというようなかたちで、選手たちと一緒に走り出して、実際に、いいチームにはなってきていると思います。ただやはり、プロですから、グッドなチームからストロングなチームに変わっていかなければいけないということを考えれば、まだまだやらなければいけないことはたくさんあるし、そういったものに対して、もっともっとエネルギーを注がなければいけないなというふうに今は思っています。
本当に、冒頭で申し上げたとおり、これで終わってしまうことが非常に残念ですし寂しいのですけれども、まずは一年間一緒に戦ってきてくれた選手に感謝しながら、また、支えてくれた、支援してくれたサポーター、スポンサーの皆さんに感謝を述べながら、一年の締めくくりとしたいと思います。ありがとうございました。
■ 交代の三人枠を使い切るのがいつもよりも早かった、その狙いを教えてください。
まず、前半のうちに先に点を取られてしまってゲームを難しくしてしまったという状況は、先のFC東京戦と同じなのですけれども、明らかに前節と違ったのは、その先に我々がボールを動かせなかったということなのです。今日は。ベンチから見ていて、スタッフとも話をしていて、何でだろうということを考えた時に、むしろFC東京さんの方がより手堅いブロックを組んでいました。
今日のゲームに関していえば、割と我々が相手陣に入る、あるいはそこからボックスに入っていくという作業に関しては、隙があったように見えたので、だとすれば、原因は我々の方にあると。それを改善するためには、まずはハーフタイムで一枚手を打って、こんなんじゃだめだぞ、というものをひとつ示したかったものがあります。必ずしも野沢がすべて悪かったというつもりはありません。(野沢)拓也の技術的なものを考えれば、リスタートのチャンスもあったでしょうから、長い時間置いておくのもひとつの手だったと思うのですけれども、何か手を加える、こんなんじゃだめだぞということを示したかったというところで、ハーフタイムで代えました。
そして、やはり、サポートが遅かったり、前に行く姿勢が見えなかったりしたので、思い切って、今週は西村が調子よかったので、(西村)拓真のパワーと、パブロ(・ジオゴ)の個人技というものを期待して、早めに交代を考えました。
■ 今年は波があったシーズンということで、連勝できた柏や鹿島といったチームもあれば、今日の磐田のように連敗というかたちになりました。スタイルを構築するにあたって、得意なチームや苦手なチームができてしまったことについてはいかがでしょうか。
今仰った連敗や連勝というのが、対鹿島さんとか対磐田さんとかそういう考えにするとちょっと自分の中では捉え方が違うので、逆に連勝や連敗ということで言わせてもらえれば、1シーズンの中で単純に連勝があったり連敗があったり、というところの方が、問題点としては大きいのかなと思っています。
もちろん、チームのバイオリズムを考えればやはり連敗は避けたいですし、少なくとも、今振り返れば、負け数のうち最低でも半分は勝点1を取れたようなゲームだったと思います。まずそういった作業をやり切ることができれば、おそらく勝点50にはゆうに届いたでしょうし、目標とするトップ5にも近づけたのではないかなと思っています。
連敗や連勝という言葉を借りて述べさせてもらえれば、そのチームが一年間の中での連敗や連勝というものが実は大きくて、その我々が何かを築こうとしているから、やりやすい相手、やりにくい相手というものがあったかというと、特にそれはないと思っています。
単純に、力関係でやはり勝ちきれなかった相手、おそらくそれは浦和さんであったり、広島さんであったり、そういういわゆる強豪、あるいは今までタイトルを取ってきたようなチームに対しては、力負けした部分があったと思います。そういったところに対して勝ち星を挙げられなかったという事実は、やはり認めなければいけないと。
ただし、今日の磐田さんや、連勝した鹿島さんといったところに対しても、一年の流れの中でどのタイミングで当たったかということも当然あると思うので、そういったところの連敗や連勝というものを、自分の中ではフォーカスしたいと思っています。
■ まだ練習は続くと思いますが、ここで公式戦が終わりました。次のシーズンまでの長い間に、「いいチーム」から「強いチーム」になるため、選手にはどういう宿題を出しますか。
まずは、トレーニングのところから、もっともっと活気を持つだとか、あるいは難しい状況を自分達で打開するか、少しチーム作りの過程で、スタイルを築こうとしてこの一年について言わせてもらうと、少し型にはめた部分がありました。
やはり、型というものをある程度作らなければ、それを破る作業というものも次にはありませんし、まず今年一年は、少し時間をかけてでも、ある程度型を作ろうということが、自分の中では決めて、のぞんだ一年でした。
そこの弊害として、選手が各々で自立できたか、あるいは自発的に何か行動ができたかというと、そこは足りない部分だったのかなという感じはしています。当然それは自分の中では想定内であって、そこはもうひとつ選手の方で自主的に何かを変えていこうだとか、状況を克服していこうというようなものの姿勢が出てくれば、おそらく強いチームというものに変われるのではないかと思っています。
ただし、今は本当に、これが成長過程だと思うんですよね。やはり最初から解き放って自由にやってご覧といっても、それは私の哲学では自由とは言わないので、まずは今は型をしっかりと作る作業、その一年だったと。そしてその型を破っていくような一年、二年にしていくのであれば、ここからもっともっと選手たちが自発的に、自主的に行動するようなシチュエーションを作りだしていかないと思っています。
それはどこなのかと言われれば、もうトレーニングしかないので、もっともっとトレーニングの中で、もう少し選手が自発的に行動するような、あるいは言葉を発するようなかたちにしていかなければいけませんし、それをやれるようになれば、グッドチームからストロングチームになっていけると思います。
■ 試合前にサポーターに話を聞いたときに「ホームで勝ってほしい」という厳しい声も多く聞かれました。それを受けて、いかがですか。
いえ、厳しくはないですよ。その通りだと思います。
昨年もホームでは負け越しましたし、今年も負け越しました。それは事実としてあるので、やはりユアスタではしっかり勝ちきるチームでなければいけない。最低でも負けないチームでなければいけないと思っています。それがやはり今年は足りなかったので、決してサポーターのご意見は厳しくないと思います。当然のことだと思います。
それを我々はしっかり真摯に受け止めて、それをこれから覆す作業をしていかなければいけません。
だからといって下を向いていてもしょうがないので、やはり今度こそやってやろうというようなエネルギーは、これから11月、12月、あるいは来年のキャンプでしっかり蓄えて、爆発させるような準備をしていければ、今度こそは、と私の中では思っています。
ただし、こういうような状況で、お願いばかりで非常に申し訳ないのですが、ぜひサポーターも、ここで勝とうぜというような空気を、また作り出してほしいと思います。「やはりまた負けるんじゃないのか」と誰か一人でも思って、足を運んで集まってしまうと、ちょっとでも負のエネルギーは伝染しやすいと思うので、ぜひポジティブなエネルギーを、これから先も、同じように生み出していただいて、我々もそこに乗っかって、今度は我々がそのエネルギーを牽引していって、今度こそ負けないユアスタを作り出したいと思います。
■ その一方で、「若手選手の活躍」や、「来年こそJ1での優勝」を、という声も聞かれました。
若手が活躍したかというと、どうでしょう。今年一年、本当にけが人が多くて、まずはなぜそのけが人が多いのか、なぜけが人の戻りが遅かったのかということをしっかりと精査しなければ、いけないと思っています。それは今、粛々と進めているので、しっかりとそのレポートは見たいと思うのですけれども、全員が元気な状態で、健全な競争をした中で、若手がポジションを勝ち取るというものがあれば、誰々頑張ったね、誰々活躍したね、と、言えると思います。
ただし、今シーズンに限って言えば、もちろん穴を埋めてくれた選手はたくさんいたのですけれども、やはりポジションをつかみ取れたのかというと、どうしても最後のところでは息切れしてしまった部分もあると思いますし、やはりもっともっとエネルギーを出して欲しいという思いが強いです。
ただし、間違いなく大きな経験をしたんですよね、彼らは。本当にシビアなゲームの中で実際に活躍した者もいますし、これじゃ物足りないと思った選手もいるでしょうし、間違いなくそれはいろいろやってみなければわからないことなので、大きな力になると思います。彼らにとって。ですからその成長を私自身が止めてはいけないと思うので、またこれから尻を叩きながら、たまには褒めてあげながら、成長させてあげたいと思います。