2016 明治安田J1 2nd 第10節 サンフレッチェ広島
お疲れさまでした。8月最後のゲームで、本当に大勢のサポーターに集まっていただきました。心から、感謝を申し上げます。ありがとうございました。
前回の柏戦から、ホームゲームで(東日本大震災5周年 )復興祈念のユニフォームを身に纏って、戦いだしたのですけれども、「そういった我々がこの地域に存在している意義というものをしっかり噛みしめながらプレーしよう」と言って、選手を送り出しました。
本当に、気持ちのこもったプレーも表現してくれましたし、今、公式記録を見たらシュートを我々が18本打っていて、それをしっかりと決めきることができれば、もしかしたらスコアももう少し違うかたちで動かすことができたのではないかと思っています。
攻撃の部分をずっとトレーニング、あるいはトライしている中で、強固と言われている広島さんのディフェンスラインに対して、これくらい理詰めに、あるいは効率よくしっかりと崩しきることができたのは、私がベガルタに関わってからはおそらく初めてなのかなと思っています。
そういう意味では、攻撃の部分の我々の成長というものは見せることができたのではないかというふうに思っています。
しかしながら、やはり結果がすべての世界ですから、失点しないように粘り強く守る、あるいはボールの失い方をもっともっと考えなければいけない、そういったところをもう少し研ぎ澄ませていかなければ、勝ちというものはたぐり寄せられないと思いました。
でも、この今まで積み上げてきたものに対して私は自信を持っていますし、もっともっとやれるとも思いますので、ここで下を向くことなく、月も変わりますし、新しい大会も始まりますし、また9月に向けてパワーアップして進んでいきたいと思います。
■ 18本のシュートを打ちながら、決められなかった要因はどこにあるでしょうか。
常々、選手には、その際の部分で、どういうようなプレーができるか、あるいは決断ができるか、判断ができるか、というようなところの話はしていて、それが勝負のあやだよというところで、実際にトレーニングで取り組んでいる部分ではあります。そういったことを考えれば、おそらく我々がシュートを打ったことに対して、広島さんのディフェンスラインが、最後は逆に際の部分で体を投げ出してきました。
後半に、一つあったと思うのですけれども、林選手がボールをこぼしたときに、たぶんうちの選手は天を仰いでいたと思うのです。でもそこが駄目だと思って天を仰ぐのか、駄目だと思わずに何かが起きるんじゃないかと言って研ぎ澄ますのか、その差でひとつ、押しこむことができるのかそうではないかというところは、今日、端的に表れた一つのシーンだったと思います。
もちろん、それができたからといってすべて勝ちきることができるかというとまた違うとは思うのですけれども、やはりそういった細かい部分をもっともっと我々は研ぎ澄ませていかなければいけないと思いますし、もしかしたら日常生活の中から、もう少し締めなければいけない部分もあるのかなと思いました。
やはり、いろいろな行動、活動がピッチに表れると私は思っていますので、キャンプの立ち上げの時に、「細部にこだわろう」と言ったところを、今一度突き詰めて、9月以降の戦いに結びつけなければいけないと思いました。
■後半に崩す動きが活発になりましたが、前後半の違いはどこにありましたか。また、パブロ・ジオゴ選手投入のタイミングはどうやって決めましたか。
まず、ハーフタイムに指示をしたのは、「もう一回しっかり立ち位置を取りましょう」、ということでした。広島さんがあれだけ前からプレッシャーをかけてくるというのは、おそらくあまりないことです。それは我々のビルドアップに対して蓋をしようというような入りだったと思うのですけれども、それに対しては、相手が来てくれるのであれば、その背中をシンプルに取りにいこうというのが我々の戦術のなかにありますから、それをやった先に、少し押しこむようなかたちができたのですけれども、シンプルさを引きずってしまったのが前半だったのかな、という感じはしています。
我々の最終ライン、特にサイドバックなのですけれども、特に菅井が高い位置を取りだして、もちろんそこで相手の最終ラインと一気に入れ替わることができれば、ビッグチャンスなのですけれども、やはりその一個手前で、相手の5-4-1のブロックの4のはがす作業をしなければいけないのがサイドバックの役割で、それを効果的にするのは我々のサイドハーフの役割で、そういった立ち位置がちょっと最初の広島さんのかかりの残像が合った中でやりすごしてしまったのが、前半だったのかなと思います。
ハーフタイムに少しそれを整理して、「もう一回ここの立ち位置を取れば効果的に攻められるよ」という話をしたなかでの後半でしたので、実際にそれを選手たちが表現してみて、これはうまくいくなというのもあったと思います。
それが前半と後半の崩しの部分での、大きな違いなのかなと思いました。
パブロ(・ジオゴ)を投入したタイミングですけれども、0-1で推移している中で、その後半の修正を施した部分で、いいリズムで押しこめていたと思うんですよね。だからもう少しこのまま引っ張るか、あるいはパブロをどのタイミングでどのポジションで入れるのかというのは、試行錯誤はしていました。そうはいっても、パブロも日本に来てまだ日が浅いので、たかだか10分くらいで出したところで彼の良さが出るかというと、やはりもう少し長い時間を与えなければいけないと思いましたから、あれぐらいのタイミングで投入をして、パブロの良さがじわじわ効いてくればいいかなと思いました。
残念なのは、そこで2失点目を喫したところが、代えたサイドで崩されましたし、そこでふたつ目を取られたというものは、ちょっと後手を踏んでしまったのは非常に反省しなければいけなかったのですけれども、そういったいろいろなアイディアの中で、彼の投入と配置換えというものはやりました。
■ 監督が試合後に声をからすのは珍しいですが、今日はそれだけヒートアップしたのでしょうか。
いえ。私も今、なんでかなと思うくらいなのですけれども、そんなにヒートアップしたということはないです。むしろこの前の大宮戦の方が熱くなりすぎたので、映像を見て、もう少し自分が冷静にならなければいけないと反省をしていたところでした。この声がかれたのは、負けた悔しさと、これで8月が終わったところでもう一回9月から新たに踏み出すよと教えられているのかなと思います。
今日に勝てば、7月、8月の勝利数ということで、ベガルタの歴史上一番勝った、勝利数が多い月になるということも報道陣の方に教えてもらいましたから、ぜひそういった歴史を塗り替えようという思いで選手を送り出したのですけれども、それが叶わなかったという悔しさももしかしたらこの声につながっているのかもしれません。
でも、悔しさと反省というものは常々あるのですけれども、今はロッカーに選手と話してきたのは、研ぎ澄ませなければいけない部分は研ぎ澄ませなければいけない、ただ私が今日採った戦術であったり、戦い方だったりというところは決して悲観することはないし、同じようにもっともっとこれからブラッシュアップしてやっていくという話は選手にもしましたので、何ら下を向くつもりはありませんし、また月が変わり、大会も変わるところから切り替えて進んでいきたいと思います。その頃にはいい声になっていると思います。